木材樹種鑑定
木材樹種鑑定 TOP
総合お問い合わせ窓口 Contact us

製品・鑑定・コンサルティングのご相談などお気軽お問い合わせください。

お電話でのお問い合わせ 鳥取 0857-28-3998

ホームページからのお問い合わせ

研究所 代表あいさつ message from Representative
木材樹種鑑定 木材樹種鑑定の特徴

これらの木器類(木材遺物や炭化木材)の樹種(材種)や古代の生物環境がお知りになりたい方には、豊富な木材鑑定経験に裏付けされ、高い信頼性を誇る当研究所の樹種鑑定サービスをお薦めします。

当研究所の木材鑑定とは

高い信頼性を誇る樹種鑑定サービス

どんな木材を鑑定できるか?

木材の樹種鑑定では、ほとんどの場合、依頼品(鑑定依頼木材資料)から「切片」を切り出して、その切片を顕微鏡で観察することによって、依頼品の木材を構成する細胞の形態的特徴から、樹種(種名)、あるいは属名や科名を鑑定します。

そのため、依頼品の大きさは、通常「サイコロ大」(最小でも「小豆大」)の大きさが必要です。依頼品は乾いていても、湿っていてもかまいませんが、依頼品が損傷しないように梱包したうえで、当研究所宛お送りください(送料は依頼者負担)。お送りいただいた依頼品は、鑑定に必要な量を切り取ります。依頼主のご希望により、残余部分はお返しします。また、ご要望に応じて「鑑定結果」を発行いたします。

通常の状態(気乾状態)以外の依頼品(例えば、炭化材とか飽水状態の木材)の樹種鑑定には、依頼品を発送される前に当研究所にお問い合わせください。

鑑定に要する経費と日数は?

鑑定結果をお送りするまでの作業工程(依頼点数1点の場合)はおおよそ、次のとおりです。
まず、鑑定依頼品から顕微鏡観察用の小片を切り出し、その小片を蒸煮、軟化します。

軟化した小片から20~50μm厚さの切片(木口切片、柾目切片、板目切片の3種類)を作製します。各切片を染色してからプレパラートにします。ここまでに約半日~1日を要します。
各切片のプレパラートを顕微鏡で観察し、鑑定に必要な写真(デジタル写真)を撮ります。

樹種の特徴(識別拠点)が記録された写真が揃ったところで樹種の鑑定を行います。これに要する時間は平均半日位です。

必要に応じて鑑定書を作成します。鑑定書は依頼主様のご要望に応じて、「写真付きで鑑定根拠を明示したもの」から「写真なしで結果のみを示したもの」まで、各種、ご用意できます。鑑定書の作成には、通常1日(写真付きの場合は)を要します。

 通常鑑定に要する日数は、作業にすぐ取り掛かれる場合だと1週間程度、すぐ取り掛かれない場合は10日以上かかることもあります。

樹種鑑定はどんなときに有効か?

●出土材や出土炭化材の場合
遺跡から出土する木材遺物の樹種鑑定からは、古代の木器文化がわかります。

さらにそれを追究すれば、「木器考古学」という新しい分野を切り開くことも可能です。
なお出土材の鑑定は、できるだけ古代の山陰地方に限定して行ないたいと考えており、これまでもそのようにやってきました。それは、古代文化の栄えたこの古代山陰地方の木の文化、木器文化の姿を明らかにしたいと考えているからです。

●事案となった木材の場合
生活に使われている木材のなかには、時折、人命に関わる事故の一因(事件や事案)となることがあります。
これの原因究明を木材の側から追究するために、樹種鑑定が必要になることがあります。例えば、木製遊具の折損事故と折損原因、つり橋木製部分の劣化による転落事故と劣化原因、食品の製造ラインで混入する木材片の樹種と混入原因、市販されている木製品の真贋判定のための樹種鑑定、木材文化財修理のための素地木材の樹種鑑定など、を当研究所ではお手伝いしてきました。

●身近な木材の場合
文化的・商品的価値のある木材工芸品や木材用具類の補修や修理や複製品製作の際には、現物と同一樹種であることが求められます。このようなときにも樹種鑑定が役に立ちます。

鑑定依頼の手順は?

鑑定を依頼する資料(依頼品)は、依頼者の責任で荷造りをしてから、依頼者が送料を負担して、環境木材研究所宛へ、宅急便、または郵便でお送りください。

鑑定完了後は、研究所が送料を負担して、残余資料とともに鑑定結果、納品書、請求書を付けて、ご返送いたします。

お問い合わせはコチラ

 

特徴2 木材鑑定界の第一人者による鑑定

お答えします!わが国伝統の木の文化

スギの三断面(青谷上寺地遺跡の出土材)出土木材の樹種鑑定分野の仕事は、研究所代表である古川の専門領域(木材解剖学)です。

長年の公共機関(鳥取県埋蔵文化財センター)との共同研究によって蓄積した遺跡出土木器類(炭化材も含む)の樹種鑑定技術を駆使して、我が国伝統の木の文明に対するお客さんの興味や疑問や依頼調査に対して、高い信頼性でもってお答えすることが出来ます。

プロの木材鑑定遺跡から出土する木質遺物類の樹種鑑定には専門知識(木材解剖学)と専門的技術(顕微鏡試料作製技術、顕微鏡操作)と観察・写真撮影装置付きの顕微鏡が必要です。

当研究所は山陰地方、特に鳥取県内において長い調査実績(多数の出土材鑑定報告書)があり、プロの木材鑑定を行います。

特徴3 古代の出土遺産を後世に残す

悠久の古代の情報を知る素敵な仕事!

この仕事に係わりはじめた1980年代後半に、鳥取県東部の岩美町福部村というところの縄文晩期の遺跡(栗谷遺跡1989)から出土した木製スプーン(後日、国重要文化財指定となった木製杓)の樹種鑑定をしたのが切掛けとなって、本格的に調査鑑定の仕事をスタートしました。

ただこの仕事の難点は、出土資料がいつでも手に入るという訳ではないことです。

現在、材種鑑定サービスを専門とする機関(企業)は少なく、また専門家の数も少ないのが現状です。



木材樹種鑑定の分野の仕事は、とてもロマンのある仕事です。

学生の皆さんもこの仕事にはとても強い興味を示します。

木材樹種鑑定関係の技術を学びたい方には、「講習、講義サービス」も行いますのでご一報下さい。

⇒過去の鑑定実績はこちら

樹種鑑定の「依頼実績」と「鑑定報告書」

世の中の景気が今ほど悪くない頃、国中でバイパスや高速道路の建設が次々と計画され、実施されていた時期がありました。そのような建設の予備調査ということで、鳥取県内でも後世に残るような大切な遺跡や遺構が多く発見されました。

 これまで出土材の鑑定は山陰地方に限定して行なってきました。それは、古代文化の栄えたこの地方の木の文明(文化)を明らかにしたいと思ったからです。近年、次第にその姿が見え始めてきたところです。これからも可能な限り、この地においてこの仕事を続けるつもりです。

■樹種鑑定依頼実績

受託年度 依頼主 依頼内容(鑑定内容)
1989年 鳥取県福部村教育委員会 栗谷遺跡遺跡出土木器類の樹種鑑定
1990年 鳥取市教育委員会 覚寺古墳群出土炭化材の樹種鑑定
1992年 鳥取市教育委員会 布勢鶴指奥古墳群出土炭化材の樹種鑑定
1993年 鳥取県(教育文化財団) 南谷大山遺跡住居跡出土木材炭化物の樹種鑑定
鳥取市用瀬町教育委員会 余井唐掘遺跡出土炭片試料の樹種鑑定
1994年 鳥取県(教育文化財団) 南谷大山遺跡Ⅱ、住居跡出土木材炭化物の樹種鑑定
1995年 鳥取市教育委員会 山ケ鼻遺跡出土木材の樹種鑑定
1996年 鳥取県(教育文化財団) 米子城跡6遺構出土木器類の樹種鑑定
鳥取県(教育文化財団) 桂見遺跡出土木器類の樹種鑑定
鳥取県(教育文化財団) 西桂見遺跡・倉見古墳群出土木器類の樹種鑑定
鳥取県(教育文化財団) 宇内横平・寺中遺跡出土材の樹種鑑定
鳥取県(教育文化財団) 陰田遺跡群出土材の樹種鑑定
1998年 鳥取県(教育文化財団) 石脇第1・3遺跡、寺戸第1・2遺跡出土炭化材の樹種鑑定
鳥取県(教育文化財団) 小浜ワラ畑遺跡から出土した炭化材の樹種鑑定
1999年 鳥取県(教育文化財団) 長瀬高浜遺跡Ⅷ内から出土した炭化材の鑑定鑑定
2001年 鳥取県(教育文化財団) 青谷上寺地遺跡(3)出土木器類の樹種鑑定
2002年 鳥取県(教育文化財団) 古市宮ノ谷山遺跡焼失住居跡(竪穴住居跡7)出土炭化材の樹種鑑定
2003年 鳥取県(教育文化財団) 井図地中ソネ遺跡焼失住居跡出土炭化材の樹種鑑定
2004年 鳥取県(教育文化財団) 笠見第3遺跡焼失住居跡から出土炭化材の樹種鑑定
鳥取県(教育文化財団) 古御堂笹尾山遺跡焼失住居跡から出土した炭化材の樹種鑑定
2005年 鳥取県(教育文化財団) 化粧川遺跡焼失住居跡から出土炭化材の樹種鑑定
  鳥取県(教育文化財団) 上伊勢第1遺跡焼失住居跡から出土した炭化材の樹種鑑定
2007年 鳥取県埋蔵文化財センター 門前上屋敷遺跡出土木製品の樹種鑑定
2008年 鳥取県埋蔵文化財センター 青谷上寺地遺跡第8次調査出土木器類の樹種鑑定
2009年 鳥取県埋蔵文化財センター 坂長第7遺跡出土木器類の樹種鑑定
鳥取県埋蔵文化財センター 青谷上寺地遺跡出土建築材の樹種鑑定
1998年 倉吉警察署 折損倒壊木製遊具の樹種および腐朽状況の鑑定
* * 智頭警察署 つり橋木製床折損転落事故の床材腐朽状況の鑑定

■既刊の鑑定報告書

報告年度 鑑定報告書
1993年 1)古川郁夫・小泉 純・矢部 浩:南谷大山遺跡住居跡出土木材炭化物の樹種構成、鳥取県教育文化財団調査報告書32、pp.269-274(写真26枚)

2)古川郁夫・小泉 純:余井唐掘遺跡出土の炭片試料、余井唐掘遺跡発掘調査報告、用瀬町埋蔵文化財発掘調査報告書2、pp.72-78

1996年

3)古川郁夫・佐藤真美:米子城跡遺構より出土した木器類の樹種構成の特徴、米子市米子城跡6遺跡、 鳥取県教育文化財団調査報告書44、pp.236-241

4)古川郁夫・堤 誠司・佐藤真美:桂見遺跡より出土した木器類の樹種構成の特徴、鳥取市桂見遺跡、 鳥取県教育文化財団調査報告書45、pp.357-363

5)古川郁夫・堤 誠司・佐藤真美:桂見遺跡より出土した木器類の樹種構成の特徴、鳥取市西桂見遺跡・倉見古墳群、 鳥取県教育文化財団調査報告書46、pp.173-177

1998年

6)古川郁夫:石脇第1遺跡および第3遺跡から出土した炭化材の樹種、鳥取県教育文化財団調査報告書54、pp.358-362

7)古川郁夫:小浜ワラ畑遺跡から出土した炭化材の樹種、鳥取県教育文化財団調査報告書55、pp.66-71

1999年

8)古川郁夫:長瀬高浜遺跡Ⅷ内から出土した炭化材の鑑定、 鳥取県教育文化財団調査報告書61、pp.227-231

2001年

9)古川郁夫・西迫陽子・新山 武:青谷上寺地遺跡出土木器類の樹種鑑定結果と樹種特性、青谷上寺地遺跡3、鳥取県教育文化財団調査報告書72、pp.303-310

2002年

10)古川郁夫:古市宮ノ谷山遺跡焼失住居跡(竪穴住居跡7)出土炭化材の樹種、古市遺跡群3、古市宮ノ谷山遺跡・古市古墳群、鳥取県教育文化財団調査報告書78、pp.185-188、図版88-92

2003年

11)古川郁夫・船橋 晃:井図地中ソネ遺跡焼失住居跡出土炭化材の樹種同定、井図地頭遺跡・井図地中ソネ遺跡、鳥取県教育文化財団調査報告書80、pp.151-153、図版PL80-82

12)古川郁夫・船橋 晃:妻木法大神遺跡出土材の樹種、妻木法大神遺跡、鳥取県教育文化財団調査報告書81、pp.129-131、図版なし

2004年

13)古川郁夫・船橋 晃:笠見第3遺跡焼失住居跡から出土した炭化材の樹種、笠見第3遺跡(本文編)、鳥取県教育文化財団調査報告書86、pp.488-494、図版PL181-185

14)古川郁夫・船橋 晃:古御堂笹尾山遺跡焼失住居跡から出土した炭化材の樹種、古御堂笹尾山遺跡、古御堂新林遺跡、鳥取県教育文化財団調査報告書93、pp.181-186、図版77-83

2005年

15)古川郁夫・船橋 晃:化粧川遺跡焼失住居跡から出土した炭化材の樹種、鳥取県教育文化財団調査報告書98、pp.64-66、図版27-28

16)古川郁夫・船橋 晃:上伊勢第1遺跡焼失住居跡から出土した炭化材の樹種、鳥取県教育文化財団調査報告書96、pp.128-130

2007年

17)古川郁夫:門前上屋敷遺跡出土木製品の樹種、鳥取県埋蔵文化財センター調査報告17、pp.270-271、図版.78

2008年

18)古川郁夫・芦田大輔:青谷上寺地遺跡第8次調査出土木器類の樹種について、 鳥取県埋蔵文化財センター調査報告21、pp.158-165、図版53-58

2009年

19)古川郁夫・木村 悠・芦田大輔:坂長第7遺跡出土木器類の樹種鑑定結果、鳥取県埋蔵文化財センター調査報告(印刷中)

20)古川郁夫・芦田大輔:青谷上寺地遺跡出土建築材の樹種について

鳥取県埋蔵文化財センター調査報告(印刷中)
研究実績
年度 研究内容
1992年 1)小泉 純・古川郁夫:SEM 観察のための出土木材の形態保存法について、 鳥取大学農学部演習林研究報告 第21号、pp.161-167
1996年

2)古川郁夫・小泉 純・矢部 浩・堤 誠司・佐藤真美:古代から近世までの山陰地方において 利用された木材の樹種選択性、 鳥取大学演習林研究報告、第24号、pp.39-53

2001年

3)倉本幸輝・古川郁夫:鳥取県内産樹木の花粉形態情報のデータベース化、 鳥取大学広葉樹研究、第9号、pp.33-53

2003年

4)古川郁夫:鳥取地方の古代人が使った木、取県博物館協会会報、No.68、pp.3‐7

講演実績
年度 研究内容
1992年 「縄文時代の森林文化」、鳥取大学農学部公開講座「山陰の巨木と木質文化財の保存、pp.16-17
2003年

「古代人の使った木」,鳥取県博物館協会総会(鳥取市)特別講演

鑑定成果の例と三断面写真

■青谷上寺地遺跡・第8次発掘出土木器の樹種と点数と用途(針葉樹79点、広葉樹36点)

樹種名 出土点数
出土割合(%)
用途
スギ 70 61 指物、桶底板、桶、アカトリ、用途不明品、板・板材、舟、柱、梯子、杭、槽、木針?、木片、窓枠状木製品、線刻板、曲物(蓋)、形、桛
イヌガヤ 1 -
カヤ 1 -
イヌマキ 2 - 土玉輪?、杭
針葉樹材 1 - 用途不明品
樹皮(針葉樹) 4 3 かご、樹皮、用途不明品
サカキ 7 6 工具柄、柱、杭、用途不明品
ヤマグワ 6 4 線刻板、鋤柄、椀形容器、桶
マタタビ 5 4 網代(タテ材)、かご
常緑カシ類 3 3 組合平鋤、柱?、用途不明品
スダジイ 3 3
ヤブツバキ 2 - 橇(身部)、杭
クスノキ 1 - ミカン割材?
サワグルミ 1 -
タカノツメ 1 - 柱?
ホオノキ 1 - 腰掛
グミ科グミ属 1 - 火鑚臼
広葉樹材 3 3 かご(親骨)、高杯脚部、杭、柱
樹皮(広葉樹) 2 - 曲物

■青谷上寺地遺跡出土建築材の部材別の使用樹種と点数

A 針葉樹材と使用部材(56点)

  スギ ヒノキ イヌマキ カ ヤ モミ アカマツ 針葉樹
柱材 11 1 1 1   1  
水平構造材 4            
壁材 6       1    
床材 2           1
小屋組 1            
屋根材 7 5 1 2 1    
窓・扉 1            
接合部材 4   1        
不明 1 1       1 1

B 広葉樹材と使用部材(25点)

  ヤブツバキ サカキ ヤマグワ クリ スダジイ
柱材 4 2 2 1 2
接合部材 1        
礎板     1 1  
不明 1   1 1  
  クスノキ クヌギ ホオノキ エノキ 広葉樹
柱材 1 1 1 1 3
接合部材          
礎板          
不明         1

●スギの三断面(青谷上寺地遺跡の出土材)

スギの三断面(青谷上寺地遺跡の出土材)

●クヌギ類(左)とスダジイ(右)
坂長第6遺跡より出土した炭化材のSEM写真

SEM写真 樹種鑑定のお問い合わせとご注文

この研究等に関するお問い合わせは、研究所代表者までお気軽お問い合わせください。

環境木材研究所

研究所代表 古川郁夫 電話/FAX 0857-28-3998 総合お問い合わせ窓口 ホームページからのお問い合わせはこちら